医療法人大久保会

気管支喘息の解説

気管支喘息の解説

気管支喘息とは

 気管支喘息はまず慢性の炎症が空気の通り道である気管支に存在し、アレルギー物質や刺激物を吸入した時にその痛んだ気管支が刺激され咳、痰がでたり、息をするたびにヒューヒュー音がする(喘鳴)ようになったり、呼吸困難になったりする病気です。これらの症状は発作でない時は消失しますが、アレルギー物質、刺激物の吸入やストレス、天候の変化などでも発作が誘発され、苦しい症状が繰り返し起こります。

気道の慢性炎症が重要

まず気管支喘息を理解する上で最も大切なのはこの気道に存在する慢性の炎症です。喘息の患者さんの気道には症状がなくても慢性の炎症が存在して、発作を起こす準備がされていると言われています。これを放置してただ単に気管支拡張薬で症状のみをとる治療を繰り返していると、やがてはこの気道の炎症が進行して気道が細くなったまま固まるリモデリングという現象が起こってしまいます。リモデリングがおこると発作でもないのに気道が拡張されず年中苦しいことになります。こうなる前に慢性の炎症を症状がなくても抑えて安定させていくことが重要になるのです。

治療の上で大切なこと

 喘息の原因となるアレルギー体質は治療で完全になくなってしまうことはありません。しかし、正しく管理していけば病気でない方と同様の生活を送ることができるようになっています。そのうえで注意しなければいけないのが、症状がなくなったからといってすぐに治療を止めるのは危険であるということです。症状がすぐにぶり返す可能性があります。数カ月単位で症状が安定していることを確認後に医師と相談して治療を少しずつ減量していく方が安全です。

喘息の治療-吸入ステロイドについて 

 喘息の治療の方向性として前述の慢性気道炎症を抑えるものが主流となっています。さらに気道は外に直接つながっているわけですから、わざわざ内服して肝臓から血液を通って気道に薬を届けるより、口から吸入して直接炎症しているところに薬を塗りつけた方が効率がいいし、副作用も少なくできるわけです。しかし、何らかの理由で吸入できなかったり、吸入療法で治療効果が不十分であった場合でも内服薬や貼付薬で優れた治療効果を持つ薬剤があります。現在喘息治療の主力となる薬剤としては吸入ステロイドがあります。最も治療効果が高い薬剤を吸入薬とすることで、全身投与(点滴や内服)に比べて極めて少ない量で治療が可能になっています。体に入る量が少ないため副作用も極めて少なく、喘息は長期の治療が必要になる病気ですが、安全に治療を継続することができるようになっています。吸入ステロイド薬の副作用は吸入薬独特の口やのどへの症状(口内炎、違和感、味覚障害、声がれなど)が出る場合があります。吸入後のうがいで頻度を減らすことができます。

喘息の管理には生活環境が大切

 喘息は生活環境ときわめて密接に関係がある病気です。大気汚染、花粉、自宅の環境(日当たり、カビ、ダニ、ペット、掃除の頻度、寝具、エアコンなど)、職場の環境(タバコ受動喫煙、有機溶剤、粉じん、エアコンなど)、季節(季節の変わり目、梅雨など)、気候(寒冷刺激、乾燥、気圧の低下など)などと様々な要素で症状が悪化します。すべての要因を取り除くことはできませんが、身近な事で、たとえば掃除をしっかりしたり、掃除機の排気を吸いこまないようにしたり、布団を良く干したり、外にものを干したらよくはたいてから取り込んだり、マスクの使用、家の中を良く片づけてシンプルに生活するなどできることから実行していくといいと思われます。季節、天候については、悪化を経験した時期を記録しておいて、予防的に少し前から治療の量を増やして悪化に備えるなど年間を通して戦略的に最低限の治療で最大の効果が得られるように治療の強さを調整することもできます。

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